かはくさんぽ―国立科学博物館

かはくさんぽ(0)はじめに

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国立科学博物館 日本館 ネオルネサンス様式の建物自体が国の重要文化財 正面には神殿のような石の柱。 

 

上野の「かはく」こと国立科学博物館といえば老舗で大御所で超有名博物館。解説書籍もネット上の見所案内も充実しており、いまさら何か語る必要はないのですが、来館者の数だけ楽しみ方はあると信じて、私流の「さんぽ」の仕方をお伝えできればと思います。

 

国立科学博物館 National Museum of Nature and Science,Tokyo

国立科学博物館 日本館 ストリートビュー

 

かはくさんぽ(1)恐竜展示をじーっとみる

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地球館1階 地球史ナビゲーター 生命史の代表選手としてアロサウルス。1964年に日本初の全身復元骨格として公開された老舗骨。2015年7月の地球館リニューアルオープンにあわせて尻尾を地面から上げる形に直して再登場。

かはくと言えば恐竜展示、恐竜展示といえば迫力満点の全身骨格、といいたいところですが、まずは地球館地下一階のこちらがお勧め展示。ヒトと始祖鳥の全身骨格が並べられている。なんだか楽しそう。ヒトと、恐竜と鳥との懸け橋である始祖鳥。脊椎動物って骨にしてしまうとよく似ていますね。

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もちろん迫力の全身骨格もあります。中央に見えるトリケラトプスは非常に完成度の高い実物化石。地中に横たわった時の状態を残しての展示。

トカゲなどの爬虫類と恐竜のちがいを全身骨格から見つけられるでしょうか。ワニやトカゲなどの爬虫類は、体の横に突き出した足で這って歩きます。恐竜の骨格を見てみると、足は体の下にまっすぐ伸びていますね。直立歩行は重い体を支えるのに適しているので、これこそが恐竜が巨大化の一因とも言われているそうです。

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解説板にも面白いことが書いてあります。「史上最小の恐竜は何だろう?」

これまでに発見されている最小級の恐竜は50cm程。しかし、鳥が恐竜の直系の子孫であると考えるならば体長2㎝程のハチドリが最小の恐竜と言えるのだ、というちょっとアクロバティックな答え。

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かはくさんぽ(2)ほにゅうるいが あらわれた!

恐竜展示もいいけれども、我らが哺乳類はどうなのか。

地球館地下2階に行ってみましょう。ここでは恐竜絶滅後に爆発的に進化した古代の哺乳類に出会えます。この巨大生物はインドリコテリウム。草原に適応した史上最大の陸上哺乳類。

大きな角や牙を持ちながらも木の葉を食べていた大型哺乳類や、牙が下方向に二本はえた象、首が長いサイのような巨大生物、そしてマンモス…こんな変てこ哺乳類が地表を闊歩していた時代があったのですね。

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約3億年前に陸上へ旅立った爬虫類と哺乳類の中には、再び生活の場を水中に戻したものもいます。かれら水生爬虫類と水生哺乳類の全身骨格もこの地球館地下2階で見ることができます。恐竜以外の巨大生物もおもしろい。

 

ちょっと骨を見飽きたなと思ったら、地球館3階へ移動してみましょう。

野生生物の毛むくじゃら剥製群です。

剥製なんて…近くに上野動物園あるし…とお思いかもしれませんが、ガラス越しではあるもののすぐそばに近寄って観察できるのが剥製の利点。

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 絶滅動物、絶滅危惧動物のエリアにはニホンオオカミの剥製もあります。現存する剥製標本はたった三点(かはく、東京大学和歌山県立自然博物館)という大変に貴重なもの。和犬に似た顔つき、小さな黒い目が可愛らしい。近くにいるコヨーテと比較してみるのも面白いかもしれません。

 

そういえば動物のグループ分けや命名ってどうやってやっているんでしょう。

ちょっと地味ながら解説板がありました。ふんふん。

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かはくさんぽ(3)ご先祖様、こんにちは

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地球館地下2階の霊長類の全身骨格模型。どれがヒトでしょうかクイズみたいになっている。オラウータンとの区別がつきますか。

霊長類の中から誕生した人類の祖先、直立二足歩行のユニークな動物。そんなご先祖様の歩みも探してみます。地球館地下二階には人類の進化に関するコーナーがあります。足を踏み入れるとそこには…こちらを指さす小さな人!

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こちらを指さすのはアファール猿人の「ルーシー」です。ホモサピを見つけてひたすら驚いています。隣のとても背の高い原人少年「トゥルカナ・ボーイ」は驚きつつも興味津々といった様子。一番奥のネアンデルタール人の男性は槍を持ったまま冷静にホモサピを観察しているようです。この展示は、現代にやってきた古代人たちが私たち来館者と出会った時の様子を想定して演出しているもの。

人類と言っても身長も手足の長さもバランスも、持ち物も、そして恐らくは未知のものへの反応も様々。

 

地球館1階 地球史ナビゲーターには古代人たちの頭骨レプリカにまぎれて、貝殻のビーズが展示されています。アフリカ南端ブロンボス洞窟で発見された人類最古級のアクセサリー。約7万5千年前に、人類は身を飾り、そしてそのことが仲間の中でなんらかの意味を持っていたことを表しています。

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こちらは日本館 2階北翼での日本人の歴史コーナー。

港川人、縄文人、弥生人、中世人、近世人…とかつての日本人の暮らしぶりを見ていくと、展示物のないガラスケースがあります。これは来館者が中に入ることで現代人の展示物になれてしまう。かはくジョーク。

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 片隅にあるのは縄文時代の10代後半とみられる女性の骨。恐らくは小児麻痺で一生涯寝たきりだったと思われる。彼女の生涯は縄文人が仲間を介護した証拠。

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かはくさんぽ(4)地球のひみつを探れ探れ探れ

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地球館2階 観測ステーション 地表の温度、水蒸気量、地磁気変動などの観測データが準リアルタイムで更新されている。気になるデータに手を伸ばして映像を拡大できる。やたらにカッコイイ部屋。

体験型展示もかはくのお楽しみです。

地球館2階に移動しましょう。ここは科学技術による地球の観測を主軸に、物理分野の展示がたっぷり。

 

電波の性質を身近なもので体感できる展示。

材料は金属のザルとラジオ。

電波は導体で反射するので、FM放送のラジオに金属のザルを被せるとザーッとなり、地デジ放送のラジオに被せるとぴたりと音が止まる。

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こちらも体験型展示の地震震源地と震源の深さを推測するブース。モニターの周囲の複数の椅子が地震の観測所代わり。椅子の揺れたタイミングから地震発生箇所を探しましょう。

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地球の観測と言えば人工衛星。地球館1階にひまわり1号の予備機が展示されていますが、人工衛星と一言にいっても、目的によって軌道はいろいろ。

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地球磁気の逆転した78万年前の地層実物標本や、八木・宇田アンテナを操作できるコーナーもあります。

 

体験型展示だとひっそりとこちらもお勧め。地球館地下3階での分子の性質についての展示。分子の世界という小さな世界での左右が、私たちが感じることのできる大きな違いとなってあらわれる。

メントールのL体とD体のにおいを嗅いで比べてみましょう。くんくん。

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かはくさんぽ(5)建物だって付属施設だって楽しい

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かはく平面図。日本館は当時の最先端科学の象徴たる飛行機の形をしている。

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博物館の建物自体も見どころです。昭和6年竣工の日本館は国の重要文化財。内装はこんな感じ。ステンドグラスがうつくしい。

 

かはくには勿論レストランもあります。地球館中2階にある「ムーセイオン」は窓際の席に案内されると展示(地球館1階系統広場)を見ながら食事ができる。

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シェフおすすめメニューを注文してみました。大きなマカロニはアンモナイトを模してるのかしら…ダイオウイカかしら…。


博物館といったらミュージアムショップもたのしみのひとつ。各種の宇宙食やフラスコなどの実験器具、カンブリア紀生物ぬいぐるみ、忠犬ハチ公クッキーなどが所狭しと並び、ちょっとマニアック過ぎないかと勝手に心配になる。

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こちらはお店の看板娘恐竜のテラちゃん。のらないでくださいと書かれている。のらないであげてね。