2016-01-01から1年間の記事一覧

ジム・シェパード『わかっていただけますかねえ』

感情というのは手に負えない。感情に向かって何か言うと、向こうはべつのことを言ってくる。子供の頃、本で子供のことを読んでも自分に出会うことはまったくなかったけれど、大人について読むと、自分がいた。それはいつもわたしを喜ばせてくれた。今はなん…

課題本について『よう、どう思った?』なんて聞くんだ―『プリズン・ブック・クラブ』

アン・ウォームズリー著『プリズン・ブック・クラブ』を読みました。本をもっと読みたくなる名著でした。 プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年 作者: アンウォームズリー,向井和美 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2016/08/3…

その時代に生きた人の率直な手紙―『注目すべき125通の手紙』

『注目すべき125通の手紙』を読みました。とても面白かったのでご紹介します。 注目すべき125通の手紙:その時代に生きた人々の記憶 作者: ショーン・アッシャー,北川玲 出版社/メーカー: 創元社 発売日: 2014/12/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (…

わたしたち園芸家は、未来に対して生きている。―カレル・チャペック『園芸家の一年』

プラハが舞台になっている映画や小説を楽しむと、いつもチェコという国は「オタク国」だなと薄らと感じてしまう。もちろんオタク魂を持った人は世界中にいる。でも、国としてのオタク国となるとイギリス、日本、そしてチェコが思い浮かぶのです。それぞれ蒐…

もしも愛する人の背中をタランチュラがテクテク登っていたらどうする?―『その道のプロに聞く 生きものの持ちかた』

年度末でアナコンダに噛まれたレベルで生活ズタズタなのですが『その道のプロに聞く 生きものの持ちかた』がとても面白かったのでご紹介します。 その道のプロに聞く生きものの持ちかた 作者: 松橋利光 出版社/メーカー: 大和書房 発売日: 2015/08/12 メディ…

どんなものでも自由に作れる―『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか』

子供が部屋中にばら撒いたカラフルな直方体を素足で踏んで今日も叫ぶ。ソファーの下にも掃除機の中にも存在する愛しくも憎いあのレゴブロックを作る企業の歴史と経営戦略の遷移を書いた『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか』を読みました。原題は「Brick…

読者の心のなかにある固有の空間―『「場所」から読み解く世界児童文学事典』

『「場所」から読み解く世界児童文学事典』を読みました。 「場所」から読み解く世界児童文学事典 作者: 藤田のぼる,目黒強,川端有子,水間千恵,宮川健郎 出版社/メーカー: 原書房 発売日: 2014/05/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る どんな本…

子どもを幸せにするひとつの手だて―『子どもと本』

『子どもと本』を読みました。 子どもと本 (岩波新書) 作者: 松岡享子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/02/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (13件) を見る 帯には「『子どもの図書館』(石井桃子著)刊行から半世紀……「その後」は?」とあり…

その後のことは、よくわからない―『モーツァルトの息子』

先日までガリレオの娘さんに関しての本を読んでいた流れで、ふと表題が気になって池内紀さんのエッセイ『モーツァルトの息子 史実に埋もれた愛すべき人たち』を読みました。 モーツァルトの息子 史実に埋もれた愛すべき人たち (知恵の森文庫) 作者: 池内紀 …

このうえなく高名で親愛なる父上様―『ガリレオの娘』

青コ~ナ~、近代科学の父、ガリレオ・ガリレイ~!赤コ~ナ~、ローマ教皇、ウルバヌス8世~!科学と宗教の分裂、対立の象徴として、今なお語られる17世紀のガリレオの裁判、即ち彼の記した『二大世界体系に関する対話』で、聖書に反するコペルニクスの地…

ただの病名を、血の通った人間へ―『アルツハイマーはなぜアルツハイマーになったのか』

『アルツハイマーはなぜアルツハイマーになったのか』を読みました。 アルツハイマーはなぜアルツハイマーになったのか 病名になった人々の物語 作者: ダウエ・ドラーイスマ,鈴木晶 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/05/22 メディア: 単行本 この商品を…

青い鳥文庫で科学リテラシー―『七時間目』シリーズ

子供に科学リテラシーを身につけてもらいたいと考える全国の保護者及び先生及び通りすがりの皆様におかれましては、どのようにリテラシーを学ぶ糸口を見つけるかということで日々悩んでいることと思われます。私はといいますと、前段階としてリテラシーとは…